シンデレラは硝子の靴を
「新しいバイト、探すか…」
やがて、沙耶は諦めたように呟いた。
元々順風満帆の人生等、秋元家には存在しなかった。
本家に嫁いだ母も、その子供も、同じ敷地に住む祖母と叔母達に散々苛め抜かれた。
幼少時代、沙耶は叔母の子供に棒の切れ端で叩かれたり露骨な嫌がらせを受けながら、自分よりも小さい弟を必死で守った。
それでも、優しい父が生きていた頃はマシだった。
―なのに。
突然の父の死。
祖母と叔母は、チャンスとばかりに沙耶達を追い出した。
無一文。
次いで母の病気。
進学を決めていた大学は辞退せざるを得なかった。
誰も頼る人間は居ない。
けれど、母と弟を支える人間は沙耶しか居ない。
最初から転落人生だ。
バイト先をクビになった位で、落ち込んでいる場合ではない。
「なんとかなる」
信号待ちで、沙耶は頬を叩き、気合を入れた。
今までだって、この言葉でどうにかやってきた。
世の中が不公平の上に成り立っていることだって、今に始まったことじゃない。