シンデレラは硝子の靴を
再び様々な検査を余儀なくされ、沙耶は今度ばかりは大人しく医者の指示に従った。
ハタチ過ぎだというのに、昨晩トンズラした自分。
刑事に連行された犯人よろしくしょんぼりと医師達の前に顔を出した時の恥ずかしさと言ったらなかった。
元来病院というものが余り好きではない沙耶。
小さい頃からそうだったが、怪我したって自分で何とかしてきたし、風邪なんてものもほとんどひいた事がないし、節約する事なども考えると、自然と病院から足は遠退く。
何よりも、あの何をされるのかわからない恐怖と、それに逆らうことのできない威圧感のような、病院という中に漂う独特の雰囲気が苦手だった。
ついでに言えば、注射なんか以っての外だ。
―なのに。
「肩鎖関節脱臼だとよ。」
一通りの検査が終わって、ベットの上に寝かされた沙耶は、悔しい面持ちで石垣を見上げた。
医師から告げられたのは、暫くの入院と、そして手術。
「せいぜい、頑張れよ。」
―入院だけならまだしも、手術とか。
あの切ったり貼ったり縫ったり繋げたりすることを、人間の身体でするなんて。
信じられない。
石垣の他人行儀な物言いにも腹が立つ。