シンデレラは硝子の靴を
完全個室のこの病院。
部屋なんかホテルのようで、病院という概念を飛び越えてしまっている。
「費用は心配すんなよ、労災だから。」
安心させるように言う石垣の後ろの大きな窓からは、都心の夜景が一望できた。
「……やっぱり、、おかしい」
「はあ?」
むしゃくしゃする沙耶は上半身だけを起こして、石垣を睨んだ。
「絶対変だと思う!だってさ、事の発端は私があんたにワインをぶっかけたことなんだよ!?その仕返しにってあんたは私から仕事や住む家を奪ったけど、代わりに別の仕事や家をくれた。しかも今までとは比べ物にならない位の。。。私はあんたにとって憎い相手でしょ?!私だってあんたが嫌い!だから敵同士でしょ!?なのに今回だってこんな立派な病院で…」
働いたこの一ヶ月。
変だと思った。
いや、もっと前からずっとおかしいと思ってた。
幾ら石垣の面子に関わることだったとしても、こんな小娘一人に対して、やることがおかしい。
もし。
もしも、それが。
いや、もしも、石垣が。
あの、男の子だったとしたら―。
もしくはそれに関わる人物で、そこに発端があるのだとしたら。
思い出は、思い出ではなくなってしまうのか。