シンデレラは硝子の靴を

完全個室のこの病院。


部屋なんかホテルのようで、病院という概念を飛び越えてしまっている。



「費用は心配すんなよ、労災だから。」



安心させるように言う石垣の後ろの大きな窓からは、都心の夜景が一望できた。



「……やっぱり、、おかしい」



「はあ?」



むしゃくしゃする沙耶は上半身だけを起こして、石垣を睨んだ。



「絶対変だと思う!だってさ、事の発端は私があんたにワインをぶっかけたことなんだよ!?その仕返しにってあんたは私から仕事や住む家を奪ったけど、代わりに別の仕事や家をくれた。しかも今までとは比べ物にならない位の。。。私はあんたにとって憎い相手でしょ?!私だってあんたが嫌い!だから敵同士でしょ!?なのに今回だってこんな立派な病院で…」



働いたこの一ヶ月。


変だと思った。


いや、もっと前からずっとおかしいと思ってた。


幾ら石垣の面子に関わることだったとしても、こんな小娘一人に対して、やることがおかしい。



もし。


もしも、それが。


いや、もしも、石垣が。



あの、男の子だったとしたら―。


もしくはそれに関わる人物で、そこに発端があるのだとしたら。


思い出は、思い出ではなくなってしまうのか。
< 265 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop