シンデレラは硝子の靴を
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病院の裏口を出ると、駐車した黒のフェラーリの隣に、白のベンツが並んでいた。




「―坂月」



その脇に寄りかかって、恐らく自分を待っていたであろう男の名前を呼べば、坂月はにこりと笑って、姿勢を正した。



「お疲れ様です。少々確認したいことがございまして、一旦抜け出してきました。それが分かり次第直ぐ戻ります。」



「―なら俺も一緒に戻る。」



月明かりはある筈なのに、病院から、街灯から放たれる光が眩しくてよくわからなくなってしまっている。


石垣は軽く手を上げて、車に乗り込もうとした。




「―あ」




坂月がそんな石垣を視線で追う。




「何。」



「…秋元さん、どうでした?一緒じゃない所を見るとやっぱりひどかったんですか?」




今まさに苛々の矛先である名前を出され、石垣は動揺を隠すように無意味に咳をした。




「入院、手術が必要だと。リハビリも入れると、全治三ヶ月って所か。痛みや違和感なんかが取れるまでは半年位かかるらしい。」



「重症じゃないですか。」



坂月は驚いた声を上げた。




「よくそれで、昨日一人で帰れましたね。相当な痛みだった筈なのに。」



「呆れるよな。」



はは、と石垣も乾いた笑いで返す。

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