シンデレラは硝子の靴を
「なんか、安心したら腹減ったぜ!ちょっと外行って腹の足しになるもん食ってくる!」


「はぁ?」



弾けるように駿は立ち上がって、また元来た道を戻っていく。



―無駄遣い…阿呆だわ。つーか、それ、どうよ。怪我人の姉を置いて、そんなの。顔見るのも数秒だし。



がくりと項垂れ。



「元気な弟さんですね。。」



もう追うことすら諦めた看護師の呟きに、沙耶はすいません、と再度謝った。



看護師が点滴をいじって出て行った後。




「いったーぃ…」



全身を襲う痛みに、沙耶はベッドの上で身体を丸めた。


痛い、なんてもんじゃない。


痛すぎて眠ることもほとんどできやしない。


それなのに、あの夜のことばかりがフラッシュバックしてきて沙耶の思考を更に邪魔する。




あれから。


石垣は、沙耶の前に現れない。

坂月の方は、たまにふらりと顔を出すが、大抵いつも時間が無く、その上駿の面倒も見てくれているようなので、直ぐに帰ってしまう。



来客はそんな程度だ。



だから、余計に考える時間が増えてしまう。




「はぁー…」




思わず出た溜め息。


あいつの事で、ここまで頭がいっぱいになってしまうのが、癪だ。
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