シンデレラは硝子の靴を
そう思っていた矢先だった。



五月蝿い弟も家に帰って、少しだけ眠れた後。



薄らと目を覚ました沙耶は、部屋の暗さに驚き、ベット脇に置いてある時計を見た。


そして、大分日が短くなったな、と思った。



―あれからそんな眠れてないのか。



夜中までぐっすり眠れたのかと期待したのに。



コン。



そこへ、一度だけノックの音がして、沙耶は首を傾げた。


医師や看護師ならば、ノックしながら「秋元さ~ん、入りますよー」と言う筈だ。


―誰だろ…?


もしかしたら気のせいかもしれない。


まだ電気を点けていない病室は暗く、沙耶はじっと耳を澄ませる。



すると。



カチャ…


ゆっくりとドアノブが回された音がして。


―え?!マジ!?返事を待たずに開けちゃう?



慌てた沙耶はとりあえず目を瞑って、寝たふりをすることにした。



―本当は目を開けて確かめたいけど、白目が光っちゃうとバレるから、、ええぃ、我慢!



カツ、カツ、起こさないよう気を配るような靴音。



―男、か。。


咄嗟に浮かんだ顔に、沙耶はどうかそうではないように!と心底願った。
< 272 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop