シンデレラは硝子の靴を
『居なくなっちゃうんでしょ?』
カラカラカラ。
葉っぱが、道を駆けていく音が不愉快だ、と思った。
『いなくなる、わけじゃないよ。遠くに行くだけ。』
幼い沙耶は、男の子に背中を向けて、集められていた葉を蹴散らす。
『一緒じゃん。会えなくなるんでしょ。』
『…寂しい?』
『!ばっかじゃないの。そんな訳ないじゃん。』
心の中を言い当てられたかのようで、沙耶の頬がかっと赤くなる。
『迎えに行くから』
『―え?』
予想していなかった言葉に、沙耶は思わず振り返った。
『約束だよ』
小さな小指に、少しだけ大きい小指が絡み合う。
はにかむように笑うと、男の子は優しく名前を呼ぶ。
『さぁちゃん。』
茶色い目が、沙耶の目を捉えると。
『大きくなったら、僕のお嫁さんになって。』
あんなに耳障りだった周囲の音が、一瞬にして遮断された。