シンデレラは硝子の靴を
寒さのせいで口からは言葉と共に白い息も零れた。
―どこから。
沙耶の目の奥には外気とは反して、熱いものが込み上げて来る。
一体どこから歯車が狂ったのか。
最初はどうしたって自分が自分を守る為の手段だと思っていた。
石垣と闘っているんだと思っていた。
だったら有能な秘書になって仕事もボディガードもちゃんとやって、ある程度の成功をしてやろうと。
そうして相手を見返してやろうと考えていた。
なのに。
もしかしたら、自分は逆に守られているのではと。
犬に追い立てられるようにして安全な柵の中に入る羊のように。
知らず知らずの間に守ってもらっている立場になっているんじゃないかという思いが自分の中に湧いてくる。
それがもしも坂月の言うような『昔の出来事』から繋がっているものなのだとしたら。
それは沙耶の望む形じゃない。
「私は自分の足で立ちたいの!今までそうやって立ってきたの!!誰かに助けてもらってなんかきてないの!!!」
石垣と一緒に居ると、そして坂月と一緒に居ると、自分の足元がぐらつく。
誰かに頼って生きていけるならとっくにしていた。
けれど、誰も頼らせてくれない所か、奪い取られるばかりの生活だった。
なのに今更。
どうやって頼れと言うんだろう。
そんな心は、ずっと昔に置いて来た。
あの竹林に。