シンデレラは硝子の靴を
濡れた道路を傘も差さずに歩きながら。
辞める宣言をしたことで空になったココロと、さっきのやりとりでざわざわするココロとが半分半分になって沙耶の想いをぐちゃぐちゃにする。
当たり前だが、コンビニに行く気は失せてしまっていた。
『お前が嫌いなのは、本当に俺なの?それとも、こっちの世界の人間か?』
「…どっちもだっつーの…」
石垣に訊ねられた問いを、頭の中で反芻して、一人言ちた。
三ヶ月頑張った。
最初は無理だと思ったのに、ここまで頑張ったんだから良しとしたい。
「っ…くしゅん…えぃ…」
変なくしゃみが出て、自分が身体を冷やしすぎたことに気付いた。
「帰ろ…」
石垣だってとっくに帰っているだろう。
沙耶は方向転換する。
―でも、やっぱり遠回りしていこう。
万が一居た場合を考えると、さっきと同じ道は避けて通りたかった。
そこへ―。
ポケットに入れたままだった携帯が震えた。
「誰…」
一瞬嫌な予感がしたが、出てみると予感は外れた。
《―もしもし?夜分にすみません。今大丈夫ですか?あれ…外ですか?》
「さか、、つきさん…」
穏やかで優しい声に、沙耶は何故か安心を見出してしまう。
《?秋元さん???》
沙耶の異変に、坂月は気付く。
《―もしかして…泣いてるんですか?》