シンデレラは硝子の靴を
それには答えずに、沙耶は確かめるように尋ねる。



「私、、言いましたよね?限界だったら辞めますって…」



《―え?》



目の前の道路を、車が何台が通り過ぎて行く。




「もう…私…限界です。」



ぽつ、落とした言葉に。




《?!どうして…秋元さん今何処にいるんですか?迎えに行きます!》




電話の向こうで、坂月の声が慌てている。



「え…いや、あの。」



断ろうとしどろもどろになる沙耶に、坂月が焦(じれ)ったそうに小さく叫ぶ。



《早く答えて!》



「病院に一番近い、、、コンビニ、、、から帰る所の、、道路沿いを歩いています。」




《わかりました。とにかく今から私が行きますから。そこから動かないで待っていてください。絶対ですよ。話は、それからです。》




位置を確認した坂月に電話を切られ、沙耶は途方に暮れたようにガードレールに寄りかかった。




大分小降りになった雨が、それでも沙耶の体温を奪っていく。




「寒いし…」






言いながら、ふと気付く。


この所、雨が多いな、と。


いや、この所、じゃない。



石垣と出逢ってから、沙耶は何度かずぶ濡れになっている。




―いつも、そうだ。




昔から、沙耶の心が掻き乱される日は。




大体雨の日が多い。







それも。



冷たい雨が。


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