シンデレラは硝子の靴を
「…坂月さん???」



坂月の異変に気付いた沙耶が、彼の顔を覗き込む。


涙もぴたりと止んだ。




「どうした…「私は良い人間でも、御人好しでもないんです。」」



―触れたい、と願うけれど。


―衝動で動ける程、自分は器用じゃない。


坂月は沙耶に伸ばしかけた手を、強く握り締めた。




「秋元さん、、以前―言いましたよね?石垣に対する情報が不足し過ぎている、と。」




沙耶は頷く。


その記憶は、大いに残っている。

お陰で沙耶は色々面倒な目にあった。




「それに対して、私は悪気があるわけじゃない、と答えました。まして天然でもない。要するにあれは―意図的でした。」




「―?」



坂月の言わんとすることが掴めずに、沙耶は首を傾げる。




「石垣は、硝子の靴を、貴女に履かせていっていた筈です。ひとつ、ひとつ。」




ドクンドクンと沙耶の心臓が大きく鳴り出す。



坂月は一体何を言おうとしているのか。



硝子の靴は、約束に欠かせないキーワードだった。


それを何故坂月が知っているのか、益々頭の中は混乱していく。
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