シンデレラは硝子の靴を
―そして。
奥へ進んでいくと、両開きの扉が重圧感たっぷりに登場。
坂月がその前で立ち止まる。
―い、いよいよだ…
沙耶は自分が生唾を呑んだ音をしっかりと聞いた。
坂月はコンコン、と慣れた手付きで扉をノックする。
「社長。秋元様をお連れしました。」
中から、「入れ」という短い返事が、微かに沙耶の耳にも届いた。
「失礼致します。」
坂月はそう言って、扉を開ける。
「さ、どうぞ。」
坂月が扉を押さえて、沙耶に中に入るよう促した。
沙耶は緊張で足元しか見ることが出来ないでいたが、ここまで来てしまったら腹を括るかしかないと、背筋を正す。
―よし!
心の中で、掛け声をかけ、中に足を踏み入れた。
「失礼します!」
勢い良く一礼し、頭を上げた先には―。
黒い、いかにもっていう背もたれ有り、革張りの回転椅子。
重厚感溢れる、先程見た秘書机の倍あるだろうデスク。
その上に、両肘をついて、手を組んでいる男―
「!?…なんでっ、あんたがここに…」
見覚えのあるその顔に、沙耶は文字通り言葉を失った。
「あんた??」
男は沙耶をじっと見つめたまま、不愉快そうに沙耶の言葉を繰り返す。
「そうよ!あんたよ!!もう二度と顔も見たくないって思ってたのになんで居るのよ?」