シンデレラは硝子の靴を
午前5:00


冬至が近づいている今、辺りは月が見える程暗い。


そして、かなり冷え込んでいる。




「あらっ!?ご主人様…お早うございますね?」




メイドリーダーの中村が、着替えて階段を下りる諒を見て、幻かと己の目を疑った。





「ん。」




意に介さない様子で足早に玄関へ向かう諒の後を、中村が慌てて追う。




「もう、お出かけになられるのですか?朝食は―」


「要らない。今日は出る。」



厨房は既に準備にかかっているが、直ぐにキャンセルをかけにいかなくては、と中村は素早く頭を働かせた。




「いってらっしゃいませ!」



見送りには、人数が足りないが仕方ない。


中村は深々とお辞儀をして、振り返ることのない諒を見送った。



主はここの所、出勤時間がどんどん早くなっている。




「秋元様、どうなさったのかしら。」




小声で呟いたつもりの独り言だったが、案外大きく響いてしまったことに肩を竦ませてから、中村は厨房へと足を向けた。


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