シンデレラは硝子の靴を
調べさせてみれば、父親は他界していて、入院中の母親と高校生の弟の三人家族。
さぁに限りなく近いのはわかっていても、確信が持てなかった。
だから。
あの時の約束のように、硝子の靴の片方を履いてもらおうと思っていた。
そしたら、わかる筈だから。
なのに。
「簡単に否定しやがって―」
諒は、秘書不在のデスクにちらりと目をやって、苦々しげに呟く。
自分の中で大きかった約束は。
彼女にとってはそうでなかったというのか。
ブラインド越しの日の出が目に染みて、痛い。
できることなら、何処へもいけないように。
何処にもいかないように。
籠の中に閉じ込めておきたいのに。
そんなのは違うと自分の中で制止がかかる。
「どこにやったんだよ…」
どうして、彼女の記憶の中の自分は。
初めて出逢った時のままなんだろう。
大っ嫌いのままなんだろう。
その他の記憶はどこへ行ってしまったんだろう。
あの日の記憶を、彼女はもう持っていないのか。