「幽霊なんて怖くないッ!!」
「俺はこれからも『カゲロウの血』を殺し、他の人間も殺すよ。 必要な犠牲だからね」
「……そんなことはさせないよ。 もう、誰の命も奪わせない」
「ふふっ……そうだな。 人間を守ると決めたのはお前だ、せいぜい頑張るといい」
……どす黒い塊が、あと数メートルという距離で私たちを囲う。
私の力はユキさんに回復させてもらったとはいえ、まだ全快ではないし、全快だったとしても倒せる数には限りがある。
ていうか、この前は警棒を使ったからなんとか幽霊を倒せたけど、今はほとんど何も出来ずに負けてしまうかもしれない。
雨音さんも氷雨くんは私よりも戦いには慣れているのかもしれないけれど、倒せる数に限りがあるのは同じだ。
……薄暮さんの力の限界はわからないけれど、近くに居る彼の呼吸はいつもよりも乱れている。
平気そうな顔をしているけれど、相当 力を消耗しているんだ……。
どうすればいいんだろう。
このままじゃ私たちは殺される。
薄暮さんの瞬間移動でこの場から逃げれば命は助かるけれど、それはカゲロウを取り逃がすということ……。
ううん、私たちがここを離れるかどうかなんて関係無く、カゲロウはもう逃げようとしている。
どう頑張っても、私たちにはカゲロウを捕まえることは出来ない……。
「……300年前の戦いの時も、こういう山奥だったね」
ふと、薄暮さんがそう言って微笑んだ。