「幽霊なんて怖くないッ!!」


……カゲロウは薄暮さんの手によって倒された。

けれどそれは『空気が変わった』とか『カゲロウの気が無くなった』と皆が言っているだけで、実際にその場を見た人は居ない。


だけど この1ヶ月平穏に暮らせているということは、薄暮さんがカゲロウを倒したからなんだと思う。


……でも、気がかりなこともある。

それは、カゲロウに連れて行かれてしまったユキさんのことだった。


あの日、あの山から私たちを連れ帰ってくれたのはイツキさんだ。

イツキさんが連れて帰った人間は、私と祥太郎さんと氷雨くんと雨音さんの4人だけ。

カゲロウと戦った薄暮さん、そしてユキさんの行方はわからないままだった。



……薄暮さんは、カゲロウを倒す時にユキさんの命も奪ってしまったんだろうか?

それとも、ユキさんはどこかで生きている……?


もしもユキさんが生きているのなら、彼女のそばに薄暮さんが居てくれたらいいな……。




みんなはもう薄暮さんは亡くなってると考えているけれど、でも私は、亡くなってるなんて思いたくなかった。

薄暮さんはきっと生きている。

生きて、どこかで私たちのことを見守っていてくれている。


きっとそう。 そうであって欲しい。

そしていつかまた私たちのところに戻ってきて、微笑んでもらいたい。




「……待ってるからね、薄暮さん」




遠い遠い空を見つめながら、溢れ出しそうになる涙を堪えて息を吐く。



いつかきっとまた会える。

また一緒に過ごせる日が来る。



そう願いながら、私はまた氷雨くんの隣に並んで笑顔を見せた。


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