「幽霊なんて怖くないッ!!」
【八峠side】
………
……
…
病院のベッドの上でごろりと横になりながら、薄汚れた天井を見つめる。
「いよいよ明日 退院か。 仕事、どうすっかなぁ」
そんな独り言を気兼ねなく言えるのは、ココが個室だからだ。
じゃなきゃそんな独り言なんて言わないし、言いたいとも思わない。
「つーか、体はまだボロボロだもんなぁ……あと数ヶ月はマトモな仕事は出来ねぇよな、うん」
親父とお袋が遺してくれた金があるから、当面は のんびりダラダラと過ごすことが出来るけれど、なんだかんだと言いながら、3年前からずっとのんびりダラダラと過ごしてきた。
『自称・霊能力者』という肩書きは『カゲロウの血』を守るためのものだったけれど、カゲロウが死んだ今、守る必要は無くなった。
「結局俺、無職だな」
26歳無職の男。
アハハ、格好悪い。
ここにハクが居たらなんて言うだろう?
『八峠さんに普通の仕事は無理ですよ』って真顔で言うだろうか?
『何もしないでダラダラ過ごせばいいんじゃないですか?』……っては言わないな、うん。
アイツが言うとすれば、『八峠さんのやりたいことをすればいいと思います』、だ。
……やりたいことって言っても、何も思い浮かばねぇよ?
3年間ずっと幽霊と戦ってカゲロウを追いかけてきたんだ。
それこそ、他のものには目もくれずにな。
「そんな俺に出来るのは、やっぱり幽霊と戦うことじゃね?」
カゲロウはもう居ないから、残された選択肢ってのはそれだけだと思う。
……で、結局『自称・霊能力者』?
「ハァ……俺ってマジで馬鹿じゃねーの」
馬鹿なことばっかり考えてる自分がイヤになる。
でも馬鹿なことしか思いつかないから、もっともっとイヤになる。
「ハクが居れば、もうちょいマシになるんだろうけどなぁ……」
そう言ってため息をついた時、コンコンとドアがノックされた。