強がりウサギの不器用な恋
「まぁまぁ、怒ってないで飲めよ。仕事も終わったし。」
海藤さんはそう言うと店員さんを呼び、メニュー表を見ながら流暢な英語で会話して注文していた。
最後に何か冗談でも言い合ったのか、店員さんも笑い声を上げて笑っている。
私には残念ながら、何を言ったのか、どんな冗談だったのかわからないけれど。
この男の英語の発音が非常に綺麗で、上手だということだけはわかる。
「英語、お上手ですね。」
「ん? あぁ……慣れだよ、慣れ。」
不意に褒められたことに照れたのか、海藤さんは何でもないことのようにサラっと流した。
……人がせっかく褒めてるのに。
あそこまで流暢に喋られると、さすがにカッコイイなとか……思ったのに。
彫りの深いワイルドな顔立ちに、浅黒い肌、無造作に伸びた癖のある黒髪、程よく鍛えた筋肉質な身体。
この人には日本語以外の言語のほうが似合うのかもしれない。