強がりウサギの不器用な恋

「まぁまぁ、怒ってないで飲めよ。仕事も終わったし。」


海藤さんはそう言うと店員さんを呼び、メニュー表を見ながら流暢な英語で会話して注文していた。

最後に何か冗談でも言い合ったのか、店員さんも笑い声を上げて笑っている。


私には残念ながら、何を言ったのか、どんな冗談だったのかわからないけれど。
この男の英語の発音が非常に綺麗で、上手だということだけはわかる。


「英語、お上手ですね。」

「ん? あぁ……慣れだよ、慣れ。」


不意に褒められたことに照れたのか、海藤さんは何でもないことのようにサラっと流した。


……人がせっかく褒めてるのに。
あそこまで流暢に喋られると、さすがにカッコイイなとか……思ったのに。


彫りの深いワイルドな顔立ちに、浅黒い肌、無造作に伸びた癖のある黒髪、程よく鍛えた筋肉質な身体。

この人には日本語以外の言語のほうが似合うのかもしれない。


< 119 / 404 >

この作品をシェア

pagetop