強がりウサギの不器用な恋

「海藤さんのお陰です。」

「…え?」

「海藤さんが荒療治で…いろいろ吐き出させてくれたからだと思います。」


本当は………

マレーシアのあの夜よりももっと前から、この人のことが気になっていて…。

だからこそ、社長への想いを風化させることができたのだ。


そういう意味において、海藤さんのお陰だ、ということは間違っていない。


「……俺、昼飯買ってくるわ。」


急に海藤さんが視線を逸らし、立ち上がって事務所を出て行く。

呆然と彼を見送るしかできなかった私に、この上なく失望感が襲った。


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