強がりウサギの不器用な恋

「あ……あぁ、すみません。
病院で貰った薬がよく効いて、すっかり寝入っちゃってて電話に全然気づきませんでした。」


咄嗟についた嘘にしては、今回は上出来だ。


社長だけに謝罪の言葉を言い、もう一人に言わないのもおかしいと思い、

「……すみませんでした。」と海藤さんに電話の件を短く謝ったのだけど……


視線を合わさなければ良かった、と思うほど……
殺されそうな鋭い瞳で、じーっと凝視された。


そこから逃げるように、私は自分のデスクに荷物を降ろし、パソコンの電源を入れる。



「身体、調子が悪いなら、今日もこのまま帰ったら?」


心配の色が乗った彼の声に、硬いはずの私の涙腺が緩みそうになる。

小さく息を吐き、ぐっと奥歯をかみ締めた。


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