強がりウサギの不器用な恋

そわそわとしながら仕事を終え、明未さんがお産をしている病院へ、タクシーで向かった。


「大丈夫だ。明未ちゃんの傍には真吾がついてる。」


タクシーの中で、落ち着かない私に静かに呟くように言葉を紡ぐ。

……そう。実は海藤さんまで一緒に行くと言い出して。
今、一緒に向かっている最中。


社長が会社を飛び出してから、軽く6時間は過ぎている。

だけど私の携帯にも、海藤さんの携帯にも、無事に産まれたなど社長から何も連絡は入ってきていなかった。


だからきっと、まだ明未さんは分娩室で頑張っているのだと思う。


病院に着いて、産婦人科の分娩室がある方角へ足を進める。

すると、その手前の開けた待合スペースの椅子に、腰掛ける二人の人影があった。

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