強がりウサギの不器用な恋
下げていた頭を上げると、驚きを隠せないと言った表情で、社長が私をじっと見ていた。
「……理由、訊いていいか?」
「…社長とは、大学生の頃から今まで一緒に居て……
よく考えると、これも腐れ縁ってやつですよね。
でも本当に感謝しています。長い間、お世話になりました。」
「そうじゃなくて、理由だよ。辞める理由!」
最初、静かなトーンで発せられた社長の声だったけど。
私がわざと的をはずしたのがわかると、イライラを乗せて少し語気が強まった。
「理由は………地元に帰ろうと思って。」
「……地元?」
「はい。うちの地元、結婚年齢が早いんですよね。
それでうちの親も、帰ってきて結婚しろって言ってるんです。」
「………」
「お、幼馴染の男の子と…結婚しようという話があるので……それで。」