強がりウサギの不器用な恋

「出張から戻って……そのまま来たんですか?」


慌ててタオルを持って来て、玄関先に佇む彼に手渡しながらそう尋ねたが…。

小型のキャリーバッグを持ち、ネクタイや上着は身につけていないが、スーツのズボンとワイシャツ姿だから、出張帰りで間違いないだろう。


あぁ、もう……
シャツが雨で濡れて、地肌に張り付いて酷いことになっている。

彼が自分の髪をワシャワシャとワイルドに拭いている間に、私もタオルで彼のキャリーバッグに付いた水分を拭き取る。


「とりあえず上がって、着替えてください。
うちには男性が着れる服はありませんけど、この中に何かあるでしょう?」


私は拭きながらキャリーバッグを指差して言う。

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