強がりウサギの不器用な恋

「わかってるんだろ? 自分でも。それが報われないと。」

「…………」



「真吾は、結婚してるんだから。」




特定の人物の名と直接的なワードを言われ、瞬間的にギリリと奥歯をかみ締める。

そうだ……社長は結婚している。


さっき大林くんが社長の好きな女性のタイプをわざと訊かなかったのは、奥さんみたいな人がタイプなんでしょ、と冷やかしを込めたからだ。


「わかってますよ、そんなことは!」


自分で想像した以上に、苛々とした感情の乗った声が出て驚いた。

だけど、そんなことはとっくにわかっている。
わざわざ海藤さんに言われなくとも。



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