天才少女の復讐法。


そう自分に言い聞かせて
あたしは社長がいる会社へと向かった。


……いつもなら、ここに来れば
復讐方法が自然と頭に浮かんでくる。


……それなのに、今日はなぜかいつもと違う。


頭に浮かんでくるのは
復讐相手の接触手順なんかじゃなくて
………香澄さんのこと。


香澄さんが倒れたあの光景が、
いつまでも頭に残ってるんだ。


「……っ…」


なんで頭から離れないんだろう……。


……いや、理由なんて分かってる。


認めたくないけど……


認めたら、復讐を進められないから
信じたくないけど……


……本当は心のどこかで
香澄さんを傷付けたくないって
思ってるからだ。

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