【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

賭けの意味は分かっても、その先のことは未経験で、分からない。

怖い。怖いけど。

言い付け通りに生きて後悔するぐらいならば、私はもう言い付けなんて守りたくない。
自分で迷って、自分で失敗して、自分で考えたい。

Up to you.

「一晩、私はデイビットさんのモノです」

「嬉しいです。――今すぐ抱き締めてキスしたい」

はにかむように笑うデイビットさんが眩しくて、私は何だか下を向いてしまった。

「あの、デイビットさんは何で私なんか……」

「美麗ちゃん?」

私なんか何処が良かったのか?
そう聞こうとしていた言葉は遮られた。

名前を呼ばれた方へ顔を上げると、着物姿の美しい御婦人が立っていた。
横には、夫だろうか。金髪のおじさんも立っている。

綺麗だけど、知らない。母と年齢はそう変わらないから、家の関係の人だとは思うけれど、分からない。

「あら、嫌だ。10年ぶりだから忘れちゃったかしら。美一さんのご葬儀の時は美麗ちゃんずっと泣いていたしね」

寂しげに笑うと、私の方まで歩いてくる。
父の関係者?
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