【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「美麗、退屈ですか?」
ぼーっとしていた私の顔を、デイビットさんが覗きこむ。
「あ、やや、その」
本当に宝石に例えられるほど綺麗な碧眼の瞳に私が映るのが、たまらなく恥ずかしい。
両手をブンブン振り回し、頭を振る。
「あっちのマフィンが美味しそうなので取ってきますね」
後ずさりして、距離をとるとデイビットさんは不思議そうに首を傾げた。
そんな姿まで絵になるからずるい。
今さらながらに、この人の隣なんて不釣り合いすぎて悲しくなってくる。
「あ」
後ろから聞こえてきた声に、振り向くよりはやく冷たい何かが足にかかった。
「すいません!」
振り返ると、御盆の上に何枚もの皿を重ねて下げようとしていたウェイトレスさんに私がぶつかってしまったのだ。
「私こそすいません、邪魔してしまって」
身体を半分に折るぎらい深々とお辞儀して謝ると、濡れた足に目が行く。
ベビーピンクの淡いワンピースに、真っ赤なワインが飛び散っていた。
せっかくデイビットさんが用意してくれた服を、私の不注意で、汚してしまった。
くらりと眩暈で一気に血の気がひいてしまう。