君と、優しくて愛しい日々を。
同じチームのみんなから驚かれ、褒められ、コウは嬉しそうだった。
…だってコウ、あの日から部活の後は、ずっとスリーの練習ばっかしてたし。
私もその隣で、シュートの練習してたけど。
私とキスするため、とか。
……馬鹿みたいだ、ほんと。
けど、そんな彼がいる日々も、愛しいと思った。
「男子も女子も、勝ててよかったね」
辺りが夕暮れに染まった、帰り道。
私はずっとドキドキしっぱなしだというのに、コウはニコニコしながらそう言った。
「……そ、そう、だね」
ぎこちなく返事をする私に、突っ込んでくることもなく。
私はコウの様子を伺いながら、鳴りっぱなしの心臓を懸命に押さえつけていた。
…コウが、上機嫌なのは伝わってくる。
けど、キスのことは何も言ってこない。
…え、もしかして今日はしないのか。
そわそわしてんの、私だけ?
そうだったら、今の私はすごく恥ずかしい。