君と、優しくて愛しい日々を。


『………ええっ!』

コウの顔が離れて、バッと後ずさる。

こいつ、頬に……キスした!?

『アハハ、これならいいんだ?やった。毎日できるかもね』

『ままま、毎日!?』

『冗談。あ、わかんない。俺の気分次第』

気分次第!?

コウの気分次第で、私は毎日頬にキスされるの!?

無理!!死ぬわ!!


どっくんばっくん脈打ち続ける心臓と、引くことのない顔の熱さを抑えていると、コウが私を見つめて嬉しそうに笑った。


『ふは。麻佑、かわいー。練習がんばろ』


……ほんと、ずるい奴。

私がいつものように『あっそ』と唇を尖らせると、コウは愛おしそうに目を細める。

その瞳が、視線が、苦しくて。

…やっぱり、死ぬかも。


コウはその後、私に『好きだよ、麻佑』なんて言葉を吐いて。

ニッコリと笑いながら、自分の家へ帰って行った。







結局コウは今日の試合で、スリーポイントをきっちり六本入れて見せた。



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