君と、優しくて愛しい日々を。


ストローから口を離して、「ありがとう」と言い、パックを返そうとする。

けど、受け取ってくれるはずの彼の右手は、私の後頭部に回された。

…えっ…

ぐいっと少しだけ強引に、引き寄せられる。

突然重ねられた唇に、びっくりした。


「……んっ……純、くん…?」


何度も繰り返し、角度を変えて降ってくる、甘いキス。

けど、なんだかちょっと荒々しく感じるのは、なんでだろう。

いつもは、すっごく優しいのに。

息をする間も与えてはもらえなくて、くらくらしてくる。

軽く彼の胸を押してみても、ますます腰を抱き寄せられるだけで。


「……っ、ま、って」


そう言って口を開いた瞬間、何かが口の中に入ってきて、私の身体が震えた。

……こ、これっ。


もしかして……大人のキス、って、やつ…!?


かぁっ、と一気に頭の奥から温度が上がって、一層くらくらしてくる。

優しく絡められる舌に、彼の胸を押してやんわりと抵抗を示していた手の力が、抜けていく。



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