イクメンな彼氏
カーディガンを脱いでキャミソールの肩紐を落とすと、彼が息を呑む音が聞こえた。

ソファーに座って彼に背中を向けているから、目に入らないはずがない。
7年が経過した今でも、私の背中には数えきれない歯形が残っているのだから。

赤紫だったそれは黄色い色素沈着のみになっている部分も多いけれど、決して消えはしなかった。

「話したいことがあるの」
突き刺さるような視線を感じながら服を整え、彼に向き直る。

彼に全てを話すことは堪らなく不安だけれど、逃げるわけにはいかない。悠斗さんだって私に知られたくないことを話してくれたんだから。

「悠斗さんと出逢う前のこと」

涙は流さないと決めていた。
この話を聞いて辛いのはきっと、私だけじゃないから。

お父さんの暴力からお母さんを守れなかったこと、悠斗さんは今も悔やんでる。
私の傷を見る度に苦しむのは彼で、もしかしたらこの傷で彼を縛ることになるのかもしれない。

それでも私は、彼に知って欲しい。
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