イクメンな彼氏
何となく悔しくて、私は「中津さんは皇帝ペンギンみたいですね」と言ってみた。

「オスが卵を温めるから?」
当然のことのように言われるから尚悔しくい。意地悪のつもりだったのに。

「知ってたんですか?」と拗ねてみせると「知らないふりをしてもよかったんだけど」と意地悪な笑顔になる。

中津さんには意地悪なことを言われても嫌な気がしない。
やっぱりお兄さんみたいだからかな。

意外と動物に詳しい彼と他愛もない話をしながら、色々な動物を見て歩く。悠理花ちゃんもじーっと動物を見つめたり、キャッキャッと騒いだりと楽しそうにしていた。


「「あ、寝てる」」

静かになったなぁとベビーカーを覗き込み、二人で声を上げた。
楽しくて限界まで遊んでいたんだろう、悠理花ちゃんはすやすやと眠っていた。

「少し休憩しようか」

草食動物が集まるジャングル風の広場の前で腰を下ろし、私は持ってきたお弁当を開いて見せた。

「お口に合うかわからないんですけど、作ってみたんです。
よかったら……どうぞ。

でもあっちに美味しそうな売店があったし、やっぱり食べなくても、全然構わないんですけど」

三色のおにぎりに唐揚げと卵焼き、ほうれん草のおひたしに筑前煮。

開いてみると余りにも質素なお弁当に、自信がなくなってだんだん声のトーンが落ちていく……。
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