イクメンな彼氏
頭の中を「?」でいっぱいにしながらも、私は藤本さんの方に顔を向けて「藤本さん、ごめんなさい……」と謝罪した。
ごめんなさいの後に続くのは『今日は食事に行けません』と『手を握るのはやめて下さい』の二種類の言葉だったけれど、口に出す前に藤本さんの手は離れていった。
「邪魔してるのは俺の方ってこと?
今日のデートは中止だね。……分かった」
首を竦めて立ち去っていく後ろ姿を目で追って、申し訳ない気持ちに包まれていると、右手がぐいっと引っ張られた。
「中津さん……?」
珍しく怒ったような顔をしている中津さんと目が合った。
少し背を屈めて、私に視線を合わせてくる。二人の顔の距離は20センチ……。
ち、近すぎる……。
保育園のドアから一歩出た時は耳がちぎれるかと思うような寒さだったのに、今は全ての感覚が麻痺してしまったかのよう。
寒さは感じないのに、繋がれたままの右手の温もりと頬の熱さが、身体中に広がっていく。
「好きだ……」
ずっと聞きたかった彼の低い声が呟いた言葉は耳に心地よくて、だけど耳を疑うもので、私は目を見開いた。
ごめんなさいの後に続くのは『今日は食事に行けません』と『手を握るのはやめて下さい』の二種類の言葉だったけれど、口に出す前に藤本さんの手は離れていった。
「邪魔してるのは俺の方ってこと?
今日のデートは中止だね。……分かった」
首を竦めて立ち去っていく後ろ姿を目で追って、申し訳ない気持ちに包まれていると、右手がぐいっと引っ張られた。
「中津さん……?」
珍しく怒ったような顔をしている中津さんと目が合った。
少し背を屈めて、私に視線を合わせてくる。二人の顔の距離は20センチ……。
ち、近すぎる……。
保育園のドアから一歩出た時は耳がちぎれるかと思うような寒さだったのに、今は全ての感覚が麻痺してしまったかのよう。
寒さは感じないのに、繋がれたままの右手の温もりと頬の熱さが、身体中に広がっていく。
「好きだ……」
ずっと聞きたかった彼の低い声が呟いた言葉は耳に心地よくて、だけど耳を疑うもので、私は目を見開いた。