イクメンな彼氏
彼の形のよい唇がゆっくりと私との距離を詰めてくるのを見ながら、私は金縛りにあったかのように動けなくなる。

まさか、キスされる……?
好きって?
どうして……?

夢のようなふわふわした気持ちに身を委ねていたくて目を閉じようとした時、瞼の裏に手を伸ばして笑う悠理花ちゃんが映った。

「……め……」

私は気がつくと中津さんの胸を押し退けて掠れた声を上げていた。

「ダメです!悠理花ちゃんのこと、ちゃんと考えてあげてください!!」

本当はこのまま全て忘れて彼を受け入れたかった。
大好きな人に好きだと言われて、幸せな女でいたかった。

だけど……だけど……他人を不幸にしてまで私は、幸せにはなれない。

なりたくない。
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