イクメンな彼氏
中津さんが『green express』のドアを開けた瞬間、入り口横の看板に『本日貸し切り』の文字があることに気がついた。
「あの……」と声をかけたけれど彼は気付かないみたいでそのまま入っていく。
店内にいた数人の客が一斉にこちらに目を向けて、私は気まずい思いで床に視線を落とした。
「あら……悠斗」
弾んだ高い声に顔を上げると、ピンクのドレスを着た赤ちゃんを抱っこしている女性がこちらを見ている。
年は三十代後半だろうか。
肩までの黒髪は艶やかに手入れされており、気の強そうな切れ長の二重が特徴的な美人だ。
彼女が身に付けているスーツは身体にフィットしたデザインで、スタイルの良さを強調している。
そして彼女が抱いているのは少し大きくなった悠理花ちゃんだった。相変わらず大きな黒目をキョロキョロさせて、少し伸びた髪を飾るリボンを引っ張ろうとしている。
「彼女はどなた?」
女性の強い目に気圧されて、彼女というのが自分のことだと理解することが出来なかった。
隣から落ち着いた中津さんの声音が響く。
「神崎 比奈さん。僕の友人です」
中津さんが発する自分の名前に狼狽しながら頭を下げる。
目の前にいる女性が悠理花ちゃんにとてもよく似ていることだけはわかった。
悠理花ちゃんのお母さんなの……?
「あの……」と声をかけたけれど彼は気付かないみたいでそのまま入っていく。
店内にいた数人の客が一斉にこちらに目を向けて、私は気まずい思いで床に視線を落とした。
「あら……悠斗」
弾んだ高い声に顔を上げると、ピンクのドレスを着た赤ちゃんを抱っこしている女性がこちらを見ている。
年は三十代後半だろうか。
肩までの黒髪は艶やかに手入れされており、気の強そうな切れ長の二重が特徴的な美人だ。
彼女が身に付けているスーツは身体にフィットしたデザインで、スタイルの良さを強調している。
そして彼女が抱いているのは少し大きくなった悠理花ちゃんだった。相変わらず大きな黒目をキョロキョロさせて、少し伸びた髪を飾るリボンを引っ張ろうとしている。
「彼女はどなた?」
女性の強い目に気圧されて、彼女というのが自分のことだと理解することが出来なかった。
隣から落ち着いた中津さんの声音が響く。
「神崎 比奈さん。僕の友人です」
中津さんが発する自分の名前に狼狽しながら頭を下げる。
目の前にいる女性が悠理花ちゃんにとてもよく似ていることだけはわかった。
悠理花ちゃんのお母さんなの……?