イクメンな彼氏
コンクリートの階段を上って二階のドアを開く。久しぶりの店内は何も変わっていなかったけれど、窓の外に広がる景色は以前とは全く違っていた。

シエロビル方向のライトアップされた木々にはイルミネーションが施され、幻想的な空間となっている。

中津さんは初めて会った時に私が座っていた二人がけのテーブルに腰かけた。
二人で並んで、窓に向かって座る。

こちらは庭園側の窓に向かうため、眼前には美しい小川と落ち葉に埋め尽くされた細い道、赤い葉が残る大きな樹。

都会だと忘れてしまうような光景に、現状も忘れて「わぁっ」と歓声を上げてしまった。

「聞いてくれる……?」

笑いを含んだ囁くような中津さんの声に、今ここに二人きりだということを思い出してしまって戸惑う。

そうだった。
話って何なんだろう……?

「あっ……はいっ……」
意識的に椅子を彼と逆側に引いて距離をとり、頷く。

彼と向き合うと決めたんだから、逃げるわけにはいかない。
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