イクメンな彼氏
その後は考える暇も余裕もなかった。

返事を待たずに彼の唇が近付いてきて、私は完全降伏して瞳を閉じた。

「んんっ……」
柔らかい唇は私の唇と重なり、腕は首の後ろに回されて逃げることは許されない。

堪らなく心地よい征服される感覚に、私は溺れていくだけ。

呼吸すら忘れるような深いキスの後に「どうして嘘をついたの?」と疑問を口にすると、「ここで君が怯えていたから」と返ってきた。

「あっ……んんっ……」
返事の後も濃厚なキスに終わりはなくて
、頭は痺れて溶けていく。

「男が苦手だって聞いて、本当のことを言ったらもう会ってもらえなくなると思ったんだ。嘘をついてでも、君との時間を失いたくなかったから……。

俺は本当は優しくなんかない。
ずるいんだ……」

耳たぶに口づけて囁かれる言葉はひたすらに甘くて、私をとろけさせる。

「……好きでいても……いいんですか?」

ずっと胸の内に秘めていた問いをやっとの思いで言葉にすると、彼が目を細めて呟いた。

「君は本当に……俺を煽るのが上手い」
< 67 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop