イクメンな彼氏
店を出て左に進むと木々の切れ間にシエロビルが見えて、その間には大きなクリスマスツリーが輝いている。

店に来る前には見てはいけないもののような気がしていた。恋人たちの象徴のようなツリーは、私には眩しすぎた。

「ツリー見たかったんだろ? 行こう。

この寒いのに胸元出して、他の男とデートする気だったのか……」

自分のマフラーを私の首に巻きながらぶつぶつ呟いて、中津さんは私を明るい場所へと連れていく。

「どうして見たいって分かったんですか?」

「来る時ツリーが見えたら、寂しそうに目を逸らしてた。比奈のことだから自分には似合わないとか思ったんじゃないの?」

どうして私の気持ちが分かるのか、中津さんは人の心が読めるのかと驚いて彼の顔を見つめる。
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