イクメンな彼氏
「一応言っとくけど俺は何でもわかるわけじゃないから。
遠慮しないで、俺にはどんなことでも言っていいんだよ」

中津さんはおはよう、とでも口をするように簡単に私の欲しい言葉をくれる。

胸の内から湧いてくる暖かいものが瞳からこぼれ落ちそうになるのを堪えて、私は彼から目を逸らして精一杯強がった。

「前から思ってたんですけど、中津さんは悠理花ちゃんを甘やかし過ぎです。
初めての子どもだから仕方ないと思ってたけど。

甘やかすのは本人のためによくありませんよ」

これ以上優しくされると、甘やかされると私は駄目になってしまいそうで……怖い。

「いいんだよ。
悠理花は周りに気を使って我慢ばっかりしてるんだから、
俺にだけは甘えて欲しいんだ。

何て言われても、
俺は目一杯甘やかすから」

一歳になったばかりの悠理花ちゃんが気を使って我慢するわけないじゃない……。

私のことを甘やかさないでと言ったことはバレバレで、それでも甘やかすと断言してくる。

そんな彼に私は完敗で、涙を隠しておくことすらできなかった。
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