恋愛温度差
「なんで黒崎オーナーがカーディガンにワンピースの組み合わせが好きか知ってる?」
「そんなの……っ!?」

 グッと君野くんの腕が腰にまわると、唇に噛みつかれた。
 痛いのかと一瞬、身を構えたが、痛みなんてなくて体中が痺れた。

 まるで瞬時に効く麻酔を打たれたみたいに力が抜けて、君野くんの腕にしがみついてしまった。

「キスして、その間にカーディガンの裾から手を入れて、ワンピースのチャックをおろす。すぐにブラのホックを外せば……ね? あとはなすがまま……」
「ちょ……は? ええ?」
 実際に、ブラまで外されたわたしは、あっという間の出来事に、頭が真っ白になる。

「ワンピースなら片手で、女性を半裸にできる。チャックも、ブラホックも外せたなら、あとは押し倒して背中を床についてしまっても脱がすのは簡単でしょ?」
と、君野くんの説明を聞きながら、実際にわたしもあっさりと押し倒されてしまう。

 わたしの上には、『オトコ』の顔をした君野くんが跨っている。

 クエスチョンマークが脳内でたくさん浮かんでいる隙間を縫って、わたしはこのまま……?と期待してまっている己がいて、恥ずかしくなる。

「あの……ちょ……待って」
「この状態で俺がシャツを脱ぐと……どう? その気になるでしょ?」
 君野くんが潔くシャツを脱いで、上半身をあらわにする。
 意外に引き締まった細身の筋肉質に、どきりとしてしまう。
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