Sweet Love
「どうして……」



逃げたいのに足が動かない。



私の目からは、涙が流れて止まない。



視線に気づいたその人物はこっちを見た。



その瞬間、さっきまで動かなかった足が音楽室の方へと進んで行った。



入った途端、泣き崩れた。



どうして…どうして工藤先生と原田先生がキスしてたの…?



やっぱり今も昔も私のこと好きじゃないのかな…



もうわかんないよ…



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「うわ…どうしたのその顔。」



「松田先生…」



職員室に入った瞬間、すぐに泣いたことバレた。



そりゃ、そーだよね…



目赤いし。



いかにも、泣きましたって感じの顔してるし…



「泣いたの?」



「はい…昨日見た映画が感動して思い出しちゃったんですよ〜」



なわけない。



私は思い出して泣く人じゃない…



「由愛ちゃんさ、そんなに無理してるといつか倒れちゃうよ?」



「え…?」



「思い出して泣いたとは思えないけど?その顔。」



「……………」



「なんで泣いたのかな。」



「なんでもないんですっ…すみません…ありがとうございます…」



そう言って私は、学校を出た。



家に帰っても放心状態だった私の元へ偶然、綾がやってきた。

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