空色ユニフォーム
走って、走って、走って。
先輩を突き飛ばしたわたしは店を飛びたした後、夢中で行く宛もなく走り続けた。
ただ、どこにも帰りたくなかった。
走り続けて行きついたのは、知らない場所。
小川が流れる小さな河川敷だった。
ケータイの液晶画面に浮かぶ「04:13」という文字は。
この何もない空虚な世界が、また朝を迎えようとしていることを示していた。
「…先輩に謝らなきゃ」
母親が娘を心配をするメールや電話も、警察から所在地を確認する電話も一切入ってきていない中で、たった一件のメール。
カズキ先輩からの「嫌な思いさせて悪かった」の一言。
わたしを必要としてくれるのは、カズキ先輩だけ。
さっきまであんなにカズキ先輩に対して嫌悪感を示していたわたしのからだも、この先輩からのメールのおかげで一気に緊張が解けて。
また、先輩を求める。