誤解から始まる恋もある?
残念ながら半年前にデキちゃった結婚をした、近所のお兄さん的存在の金城真人さんだ。

彼はこのホテルの副支配人で、年齢は三十三歳。若くして副支配人なのは、語学が堪能なおかげ。

最近の沖縄は、台湾や韓国、中国からの観光客が多い。金城副支配人は中国語と韓国語ができるので、異例の昇進だと聞いた。

沖縄の人らしく彫りが深い顔立ちだけれど、イケメンというわけではなく、性格もお笑い芸人のように人を楽しませるのが好きなタイプ。いわゆる三枚目キャラ。優しくて『困ったことがあったらなんでも言ってくれ』と、いつも力になってくれる。

正直なところ、金城副支配人がいなかったら、競争率の高いこのホテルに採用されたかどうか。

「はい、夕樹菜ちゃん。パッションフルーツジュースできたよ」

厨房から声がかかった。アルバイト期間が長いから、スタッフは私と里沙に対してフレンドリーに接してくれる。

「はい!」

オレンジ色のジュースが入ったグラスをトレーに乗せ、お客様の元へ向かう。
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