私に恋をしてください!
志貴は遊びに出掛けてしまい、都貴は中学受験を来月に控えているため勉強をすると部屋に戻ってしまった。

「中学受験ねぇ。俺は大学までどっぷり国公立だったから、受験戦争の苦労は分かるけど中学からは頑張りたくはないなぁ」
『お前は一浪している時に予備校の学費という余計な支出があったけどな』
「耳が痛いなぁ」

俺と兄貴の会話に葉月が笑っていた。

『そう言えば、葉月ちゃんは受験の思い出は?』
『私は幼稚園から高校まではアール女学院でしたけど、大学が国際美術大学なので、その時に受験は味わってます』
『へぇ、美術大学って結構入るの大変で、一浪二浪は当たり前だって聞くけど、現役?』
『はい。一応・・・』
『それで今は龍成社の営業やっているだなんて、お父さんの関係とはいえもったいないね』

知らなかった。
美術大学ってそんなに入るの大変なの?

葉月の夢を潰しちゃいけない。
でも今の環境は明らかに夢から遠ざかっている。

龍成社で働かせているのは葉月の父親。
俺との関係もそうだけど、お母さんとの関係に加え、葉月の夢も認めてもらわないと。

近いうちに、やっぱり葉月のお父さんに会わなければならないと、俺は改めて思った。
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