私に恋をしてください!
『分かった。やってみて?』

そう葉月に言われてやってみるものの、なかなかセンスのいる仕事みたいで、始めは葉月に"えー?そこでその柄選んじゃう?"みたいな文句も言われた。

でも少しずつ慣れてきて、葉月にも満足してもらえたようだ。

ところが、そんなやりとりに夢中になってしまい、ふと時計を見ると午後3時を回っていた。

「葉月、天気もいいし、外でデートしない?夜は、ディナーを予約しているんだ」
『うん。出掛けよう。座りっぱなしで疲れちゃったし』

外へ出て、しばらく乗っていなかったビッグスクーターを出した。

『え?これソラの?』
「うん。正確には兄貴のお下がりだけどね。ちょっと寒いけど、便利だからこれで出掛けようよ」

ヘルメットも兄貴から2つ譲り受けていたけど、1つは全く使用していなかった。

「多分、何年か前に芙美さんが使って以来だと思うよ、このヘルメット」

葉月にシルバーのヘルメットを渡す。

『嘘だぁ、昔の彼女とかは乗せなかったの?』
「バイクの後ろに乗せるってことは、俺の体に密着させなきゃいけないんだぞ。そんな女性、バイクの免許を取ってから誰もいないよ」
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