私に恋をしてください!
『私、ヤバイところを目撃しちゃったのかも』
「でも、俺は聞いていたよ。高松が社内で付き合っている人がいるって、それが桐生さんなんだろ?名前だけは知っていた」

それが健吾さん情報であることを葉月に伝えた。

『さすがに上司は知っているんだね』

桐生さんと高松がエレベーターに乗ったのを見て、隠れることをやめた俺達。

「でもこれから俺達が行く場所、多分あの2人とまるかぶりなんだよね」
『あ、そうだ』
「俺達はいいけど、あの2人が気まずくなりそうだよね」
『席が離れているといいけど』

最上階に到着して、予約していた旨を伝えると、席に案内された。
途中、2人とは遭遇しなかったけど、着席してから葉月が気付く。

『私の席から、完璧に桐生さんの顔が見えるの。席交換してもらえる?』

と、言われて交換した俺達。

『でも、桐生さんにはバレたかも』
「高松は?」
『背中を向けているから気づいてないと思う』

でも、知っている葉月の顔が見えるデートより、知らない俺の顔が見えている状態の方が向こうもまだマシだろう。
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