狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXII―ⅵ 揺れる心Ⅵ
「…んぅっっ!!」
突然激しく手足をバタつかせたアオイにキュリオは驚いている。
「アオイ…?」
銀髪の王の腕を抜け出そうと激しく暴れる彼女を危うく取り落としそうになったキュリオは、ぐっと表情を引き締めるとアオイの体を抱き上げ扉を出て行こうとする。
「お前のワガママは極力聞いてやりたいと思っているが…」
「…この腕から逃れたいという願いは聞き入れられない」
言葉もわからぬアオイに声を下げて警告するキュリオの瞳はまるで…彼女の体から自由を奪っていく氷の枷のように冷たく重いものへと変わりつつあった―――