薫子様、一大事でございます!
いくら古いとはいえ、深く詮索することもなく破格の値段でこの部屋を貸してくれたのが、芙美さんだった。
ここだけではない。
同じ建物内に、滝山と私の部屋まで提供してくれるという、徹底したお人よしぶり。
私たちは、わらにもすがる思いで、芙美さんの好意に甘えたというわけだった。
事務所として使っているこの部屋は3階にあって、新築当時は法律事務所として使っていたらしい。
2DKの部屋は、私たちには広すぎるくらいだ。
私の部屋は同じく3階。
この事務所の隣にある部屋をひとつ挟んだ1DKの部屋だ。
そして、滝山は2階で、ちょうど私の部屋の下に住まわせてもらっている。
ちなみに、芙美さんの住まいは、ここから徒歩で1分ほどの一軒家だ。