薫子様、一大事でございます!
「なんだか心許ないなぁ」
「……すみません」
早川さんに恋愛経験がゼロだとバレてしまったことは、内緒にしておこう。
これ以上、怒られたくない。
「本番は1週間後だったな」
「はい」
Sホテルの最上階にあるラウンジで会う約束をしているという話だった。
「俺も行くから」
「一緒に来てくれるんですか!?」
北見さんがそばにいてくれれば、怖いものは何もない。
「アホか」
コツンと頭を小突かれた。