インセカンズ
「私が猫舌だって知ってたんですか?」
「同期の奴らはみんな知ってるんじゃないの? ホットウーロン、これでもかっていうくらい、ふーふーしてたの見た事あるし」
本当に安信は、どうでも良いような事まで見ている。その気配りが自分だけに向けられているものだと勘違いしてしまう女子がいるのも頷ける。
緋衣だって、窓越しに安信の姿を見つけたとき、もしかしたら自分の身体を気遣って追いかけてきてくれたのかもしれないと迂闊にも都合のいいことを考えてしまったくらいだ。本当にそうだとしたら、何よりも嬉しいのは、大切な人を置いてきてまで来てくれた事だ。
そう思う反面、緋衣の胸には罪悪感が付き纏う。他人の幸せを横取りするつもりはないのに、結局やっていることは、あの舌足らずな女と同じだ。ましてや、腹を括って安信と会っている訳ではない。自分は傷つかないように一線を引いて、いいところばかりを摘まみ食いしているようなものだ。
「アズは、今日の夕飯なんなの?」
緋衣が人知れず落ち込んでいると、安信が聞いてくる。
「まだ決まってないです。冷蔵庫の残り物で何か作って食べます」
「そういうの、いいよな。頭いい感じがする」
「何言ってるんですか。ヤスさんが作ってくれた朝食だって、朝から見事な出来栄えでしたよ」
「俺は、見栄え重視で作るからなぁ」
ふっと笑う安信の横顔を盗み見る。
安信に好意を抱く女性が彼に惹かれていく過程をありありと想像できる。最初は外見からだったとしても、内面を知る度、きっと前より好きになっている。人に平等に優しく、何事も率先して行う行動力、さり気ない気遣いときめ細やかなフォロー。自信に満ちた言動は、しっかりとした裏付けがあるから嫌味にならない。安信の存在自体が、自分の意図しないところで相手を骨抜きにしてしまう。
「同期の奴らはみんな知ってるんじゃないの? ホットウーロン、これでもかっていうくらい、ふーふーしてたの見た事あるし」
本当に安信は、どうでも良いような事まで見ている。その気配りが自分だけに向けられているものだと勘違いしてしまう女子がいるのも頷ける。
緋衣だって、窓越しに安信の姿を見つけたとき、もしかしたら自分の身体を気遣って追いかけてきてくれたのかもしれないと迂闊にも都合のいいことを考えてしまったくらいだ。本当にそうだとしたら、何よりも嬉しいのは、大切な人を置いてきてまで来てくれた事だ。
そう思う反面、緋衣の胸には罪悪感が付き纏う。他人の幸せを横取りするつもりはないのに、結局やっていることは、あの舌足らずな女と同じだ。ましてや、腹を括って安信と会っている訳ではない。自分は傷つかないように一線を引いて、いいところばかりを摘まみ食いしているようなものだ。
「アズは、今日の夕飯なんなの?」
緋衣が人知れず落ち込んでいると、安信が聞いてくる。
「まだ決まってないです。冷蔵庫の残り物で何か作って食べます」
「そういうの、いいよな。頭いい感じがする」
「何言ってるんですか。ヤスさんが作ってくれた朝食だって、朝から見事な出来栄えでしたよ」
「俺は、見栄え重視で作るからなぁ」
ふっと笑う安信の横顔を盗み見る。
安信に好意を抱く女性が彼に惹かれていく過程をありありと想像できる。最初は外見からだったとしても、内面を知る度、きっと前より好きになっている。人に平等に優しく、何事も率先して行う行動力、さり気ない気遣いときめ細やかなフォロー。自信に満ちた言動は、しっかりとした裏付けがあるから嫌味にならない。安信の存在自体が、自分の意図しないところで相手を骨抜きにしてしまう。